【文章摘要】 前稿で述べられているように,これまでのセラミックス材料研究では金属酸化物または複合アニオン化合物が主なターゲットであったのに対し,複数原子からなる分子性ユニットがもつ新たな自由度を取り込んだセラミックスを取り扱う研究領域が発足した.当該研究領域では,固体無機材料に分子性ユニット(分子イオン,錯体,クラスター)を組み込んだ物質群を「超セラミックス,Supra-Ceramics」と定義し,分子がもたらす非対称性や動的特性などを活用した革新的な機能性無機材料の創製を目指している.後述するように,この未開拓の材料群「超セラミックス」に対しては旧来の金属酸化物の合成法がほとんど適用できず,所望の分子性ユニットを無機結晶中に内包させる新規合成法の確立が不可欠となる.本稿では,超セラミックス研究領域において開発が進められている新規合成法を紹介し,当該材料研究の将来展望を述べる. |